経験してわかった医療系ITシステム業界の良いところ、悪いところ

こんにちは、MFT(@LW_MFT)です。

本業は、医療系ITシステムの取扱いをしています。

 

20年近く医療系ITシステムを取り扱ってきたので、この業界に興味がある方や、始めたばかりで不安があるといった方向けに、

私が感じた医療系ITシステム業界の良いところ悪いところについてお伝えします。

 

 

医療系ITシステムってなに?

ITは既に聞き慣れた言葉ですが、同じITでも「医療系」とつくだけで、中身は全然違ってきます。

医療系ITシステムとは、病院で使われている電子カルテやレントゲン撮影された画像を表示する仕組みなど、病院や介護施設で利用されている情報システム全般です。

 

ちなみに、私は主に「医事会計システムレセプトコンピュータ)」の販売、導入、メンテナンスをしています。

「医事会計システム」というのは、おおざっぱにいうと「窓口の患者さんが負担するお金を計算して、残りの7割を公的機関へ請求する」といった計算をしてくれるシステムです。

医事会計システムは病院になくてはなりません。昔は手計算だったようですが、制度が複雑になった今では、100%の病院や診療所で導入されています。

 

医療のことが全くわからないときは、「レセプト」という言葉の意味の意味すらわかりませんでした。

これもまったく知りませんでしたが、病院って、全ての診療行為を円ではなく点で表すんです。

1点=10円で換算されるといった感じで。

 

面倒くさいですよね。なんでわざわざ変換しなければならないのか、いまだによくわかりません。

 

他にも色々ありますが、とにかく医療業界は閉鎖的です。

医療分野の業務そのものが独特で、一般的にはほとんど馴染みのない情報システムが必要とされます。

しかも、ドクターの声が強いため、業務が属人化される傾向が強く、システム化のような業務の標準化がやりにくい業種です。

古い文化や慣習がずっと残っていることも多いですね。

 

 

 

医療系ITシステム業界の良いところ

浅いIT知識でも通用する

医療機関は、一般企業よりITリテラシーが低いです。

一般企業では当たり前にシステム化されていることが、できてなかったりします。

未だにインターネットは超危険だと思考停止して、ネットに繋げない人も多いので、世間とのギャップを感じる…

 

そのため、けっこう浅いIT知識でも、通用することが多いです。

結果、一般企業ではありえない高値で買ってくれることもあります。

 

うまく便利アプリを作ることができれば、爆発的に売れる可能性があります。

 

 

勝ち馬に乗れば勝てる

病院は非常に保守的なところが多いのですが、裏を返せば、いったん導入されるとあまり他社に浮気されることがありません。

失敗が許されない業態であることから、既に実績があり、内容が保証されているものを導入したがる傾向があります。

 

私は富士通系のシステムを取り扱っていますが、実は、富士通は病院への電子カルテ導入実績No.1です。

実績を評価してもらえるため、商談が決まりやすいというメリットがあります。

私の会社のように、わかりやすく勝ち馬に乗っかるやり方で、商談を有利に進めることができます。

 

 

会計を制すれば医療を制す

医事会計システムの導入やメンテナンスをしていて感じますが、医療系ITシステムの要は「医事会計システム」です。

 

「電子カルテシステムの方が全体で利用するし、医療系ITシステムといえば電子カルテだろ?」と、思われる方もいるかもしれません。

それも一理ありますが、電子カルテシステムは発生源の情報を入力するツールに過ぎません。

 

でも、医事会計システムは診療情報+コスト情報という病院内のあらゆるデータが最後に蓄積されてくる、医療情報の総合データベース

 

データを分析して次の手を打つためには、電子カルテの診療情報だけでは不足しています。

病院収益もふまえて、医事会計システムのデータを多角的に分析してこそ、その病院の課題が見えてきます。

 

まさに、「会計を制すれば医療を制す」といえます。

 

 

医療系ITシステム業界の悪いところ

リスクが非常に高い

医療系のITシステムは止まることが許されません。

止まるのはもってのほかですし、検査結果などがシステムバグで間違えていたりすると、患者さんの命に関わります

 

また、医療の情報は最上級に高く売れる情報であるといわれています。

例えば、「認知症を患っている高齢者の連絡先とその家族情報」などは、振り込め詐欺を働いている詐欺師にはのどから手が出るほど欲しい情報です。

 

情報が漏れれば、被害を受けた患者から多額の損害賠償請求をされるリスクもあります。

 

電子カルテ等の診療記録は、個人情報の中でも漏洩リスクが最も高い情報ですので、資格がないと販売すらできないシステムもたくさんあります。

 

 

制度がコロコロ変わる

医療業界は頻繁に制度が変わります。

医療業界の法令改正と言われるものです。

 

あまり実感はないかもしれませんが、お薬の値段とか、実は結構変わっています。

いつもと同じ診察、同じ検査、同じ薬を処方されたはずが、前回よりも金額が高くなっている、あるいは安くなっている、といったケースがよくあるはずです。

下手をすると年2回、3回と改定があることも。

これは本当にSE泣かせです。せっかく作成したブログラムが一年たたないうちに何度も修正しなければならなくなることがあります。

 

 

時間外労働が多い

日中は診察があるため、なかなか日中の業務時間内で作業することができません。

ドクターや看護師の方が端末にさわっていない時間帯に作業する必要があります。

 

それでも病院は24時間365日動いてます。

 

パソコンを再起動するだけでも、事前に十分調整しないとものすごいクレームになります。

夜中の1時に作業担当者が行って、再起動することもありますし、 土日診療されている 病院さんとかだと 土日のトラブルで駆けつけなければならない時もあります。

 

 

部署間の仲が悪い

院内の各部署間は仲が悪いです。

病院内は専門職の集まりなので、みんなプライドが高くて、自部署以外にあまり関心がありません。

結果、電子カルテシステムなどの、部門をまたいだシステムを導入するのは至難のわざ。大混乱必至です。

 

結局、このセクショナリズムで消耗するのは医療系ITベンダーのSEというわけです。

 

 

まとめ

ここからは、医療系ITシステム業界の特徴をまとめた上で、この業界に求められる能力についてお伝えしたいと思います。

 

医療系ITシステム業界とは

医療系ITシステム業界は、

高リスクで部署間の調整も大変。またシステム修正頻度が多く、時間外労働が発生する大変な仕事です。

まさに、現代の3K職業といえるでしょう。

 

ただ、一般企業と比べて「ITリテラシーが低く、システム化されていない業務が多いため、ある意味ブルーオーシャンともいえます。

このブルーオーシャンを切り開くカギとなるシステムは医事会計システム(レセプトコンピュータ)です。

理由は、医事会計システムには院内のあらゆる診療情報に加え、コスト情報が蓄積されますので、

この統合情報データベースをいかに利活用するかが病院経営を左右するためです。

 

 

 

求められる能力

以上をふまえて、医療系ITシステム業界で成功するために求められる能力は、「標準化されたシステムを導入できる能力」です。

ここはよく勘違いされますが、要望に合わせて個別開発するカスタマイズ力よりも、パッケージ化されたシステムにいかに業務を合わせるか、というコンサルテーション力が必要なのです。

 

全ての要望を聞き入れていれば、プライドの高い専門職先生方につぶされてしまいます。

また、せっかく構築したシステムは法改正によって無残にも変更の必要に迫られます。

 

つまり、システム開発力 < コミュニケーション能力 です。

 

医療業界にはたくさんの課題が山積しているので、ITシステム化で課題解決のお手伝いができたときは、心からやりがいを感じられるはずです。

 

 

Commentsこの記事についたコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です